Pixar Animation Studios で作成された OpenTimelineIO 、編集タイムライン情報用のオープンソースの交換フォーマット
2019年7月29日カリフォルニア州ロサンゼルス発 – 映画およびメディア産業におけるオープンソース ソフトウェア開発のための中立的なフォーラムである Academy Software Foundation (ASWF) は、OpenTimelineIO が ASWF の Technical Advisory Council (TAC) により ASWF の 5番目のプロジェクトとして承認されたことをを発表しました。
Pixar Animation Studios で作成された OpenTimelineIO (OTIO) は、オープンソースの API および交換フォーマットです。これにより映画スタジオの脚本、編集、制作の各部門は、ポスト プロダクションの全工程を通じて編集データおよびタイムライン情報に関するコラボレーションとコミュニケーションを推進できます。2016年以降、Pixar、Lucasfilm、Netflixなど多くのスタジオやベンダーの貢献により、OTIO はこれまで 11リリースが発表されています。リメンバー・ミー、インクレディブル・ファミリー、トイ・ストーリー4 などの映画の制作に使用されました。
Pixarの研究開発担当バイス プレジデントである Guido Quaroni 氏は、次のように述べています。
「編集部門が作成した画像なしデータは、工程全般できわめて有益です。私たちがOpenTimelineIOを開発したのは、各社固有のフォーマットに代わるものとしてオープンソースによる手段を提供し、コミュニティが容易に、また効率的に編集タイムラインを交換できるようにするためです。」「Academy Software Foundation のプロジェクトになったことで、OpenTimelineIOが映画などの業界におけるコンテンツ作成にとって推進力になることを期待しています。」
OTIOを使用すると、編集タイムライン情報を使用して、以前は同様の独自技術では処理が困難だったフィルム製造パイプラインのギャップを埋めるツールを簡単に作成できます。クリップ、タイミング、トラック、トランジション、マーカー、メタデータがAPIでサポートされているため、スタジオにとってはツールとの統合、ベンダーにとってはソフトウェアとの統合が容易になります。ユース ケースには、ショットの長さの変化の追跡、毎日のコンテキスト ショットの提供、追加または削除されたショットの伝達、カットへの新しい要素の挿入、画像内画像ショットの処理などがあります。
Academy Software Foundation のエグゼクティブ ディレクターである David Morin は、次のように述べています。
「OpenTimelineIO は、アニメーション スタジオ、視覚効果スタジオ、サードパーティ ベンダーそれぞれの内部とスタジオ間の両方で、短期間のうちに業界標準の編集工程に組み込まれつつあります。Academy Software Foundation のコミュニティから幅広いサポートが得られているため、OpenTimelineIO に対応したサードパーティ ツールのエコシステムは今後も成長して、ユーザーがそれぞれの工程に組み込むことはさらに容易になるでしょう。」
Netflix のポスト プロダクション エンジニアリング担当役員である Erik Strauss 氏は、次のように述べています。
「クリエイティブなパートナーやサービス プロバイダーによって構成される多様なコミュニティとコラボレーションを進めるには、タイムラインの中でメディア資産どうしの関係を精密に保管、交換できる統一的な方法が必要です。制作に欠かせないこの種のデータの交換に関して、映画会社コミュニティのためにその進化と記述方法の標準化を推進する機会を通じてOTIOに貢献できることを嬉しく思います。OpenTimelineIOに積極的な貢献者として、これが Academy Software Foundation のプロジェクトになることを大変嬉しく思います。また、Foundationの新しいメンバーとして、コミュニティの皆さんとプロジェクトの成長に取り組んでいくことを楽しみにしています。」
Academy Software Foundation は、技術運営委員会による監督のもと、プロジェクトを管理し、さらに発展させます。OpenTimelineIO は、Academy Software Foundation のインキュベーション プロジェクトとして、OpenColorIO、OpenCue、OpenEXR、OpenVDB に加わります。 全ての新たに承認されたプロジェクトはインキュベーション段階からスタートし、Academy Software Foundation の厳しい基準を満たすよう取り組みが進められ、完了するとグラデュエートの段階に進みます。これにより Academy Software Foundation は、コンテンツ制作業界のオープンソース ソフトウェア基盤に対する貢献を質、量ともに充実させるという Foundation の使命に合致する限り、発展の度合いや業界による受け入れのレベルがさまざまに異なるプロジェクトを検討し、支援することができます。
OpenTimelineIO の詳細について、または OpenTimelineIO への貢献について興味がある開発者は、OTIOのメーリング リストに登録するか、SIGGRAPH 2019 のOpenTimelineIO Meet-Up (7月30日(火)午後1時~2時、JW Marriott、Diamond Ballroom 7~10) 参加してください。OpenTimelineIO Meet-Up は、7月30日に開催される Academy Software Foundation の Open Source Day の一環として企画されています。視覚効果、アニメーション、イメージ作成に使用されるオープンソース プロジェクトに焦点を絞った Birds of a Feather (BoF) セッションを行う1日イベントです。詳細については、こちらをご覧ください。
Academy Software Foundation について
Academy Software Foundation は、映画芸術科学アカデミーとLinux Foundationの提携により設立されたもので、映画業界や幅広いメディア業界のオープンソース ソフトウェア開発者に中立的なフォーラムを提供します。ここではリソースを共有し、イメージ作成、視覚効果、アニメーション、およびサウンド技術について共同研究を行っています。この Foundationは、OpenColorIO、OpenCue、OpenEXR、OpenTimelineIO、OpenVDBの活動拠点です。 Academy Software Foundationの詳細について、またはこのFoundationへの参加については、ASWF.ioにアクセスしてください。
The Linux Foundation はさまざまな商標を登録および使用しています。The Linux Foundation の商標一覧はこちらのページでご確認いただけます。
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