Amazon Alexa、Nuance Communications、Voicebox Technologiesが主導するSpeech Expertグループ
あらゆる車載アプリを音声対応にするオープンAPIを開発
2018年2月28日 サンフランシスコ発 - コネクテッド カー向けオープン プラットフォームのクロスインダストリ共同開発プロジェクトAutomotive Grade Linux (AGL) は、音声認識と車両クラウド間 (V2C) 接続にフォーカスした2つのエキスパート グループ (EP) を発足したことを発表しました。
The Linux FoundationのAutomotive Grade Linux担当エグゼクティブ ディレクターであるDan Cauchyは、次のように述べています。
「私たちがめざしているのは、あらゆる車載アプリを発話対応にすることですが、現在課題となっているのは、開発者が自動車メーカーごとの音声認識エンジンを手動で統合しなければならないことです。私たちは、開発者がアプリケーションを1度だけ記述すれば、それがAGLを使用している全メーカーの全システムで、発話認識技術の違いを意識することなく使えるように、オープンなAPIの標準セットを提供したいと考えています。このような標準化が業界に導入されるのは初めてであり、これによって分断化が大きく削減され、発話対応車載アプリのエコシステムが形成されることになります。」
Amazon Alexa、Nuance Communications、およびVoicebox Technologiesが主導するSpeech EG (スピーチ エキスパート グループ) は、自然言語、文法開発ツール、オンボードvsクラウド ベース スピーチ、およびノイズ リダクションやエコー キャンセル向けの信号処理といった技術をサポートするためのガイダンスも提供する予定です。
Amazon Alexa Automotiveのプロダクト担当ディレクターであるJohn Scumniotales氏は次のように述べています。
「このワーキング グループは、車載音声技術をお客様が喜ぶものへと進化させる素晴らしい機会を手にしています。お客様が自宅でも車でも、Alexaのような音声サービスを一日中享受できるようになることが私たちの願いです。音声サービスを自動車メーカーが使いやすいように簡略化することは、その目標への大きな一歩です。このワーキング グループに参加し、お客様により豊かな音声体験を提供する新たな方法を見出せることに興奮しています。」
また、Nuance Communications社のProduct Marketing and Strategy, Automotive Speech担当シニア ディレクターであるEric Montague氏は、次のように述べています。
「Speech Expert Groupの創設メンバーになり、音声認識APIの標準セット開発のミッションをフルに共有できて光栄です。弊社のDragon Drive自動車プラットフォームは、実際に2億台以上の車両・40言語で利用され、世界中の大手自動車メーカーの音声機能に寄与しています。この技術を同グループに役立て、ともに自動車の音声インタフェースの未来を実現できることを楽しみにしています。」
さらにVoicebox Technologiesのカスタマー エンジニアリング担当シニア バイス プレジデントであるSam Menaker氏は、次のように述べています。
「Voiceboxは、AGLのSpeechエキスパート グループに参加できて光栄です。弊社の15年にわたる組込みやクラウドの開発経験、さらにはトヨタ、スバル、AT&T、ルノー、マツダなどのカスタマー向けサード パーティ スピーチ ソリューションの開発経験は、AGLにおける標準発話API開発の資産になるでしょう。Voiceboxは、発話APIの作業に加え、自然言語認識 (Natural Language Understanding: NLU) APIやツールチェーンの開発もAGLと協力して行うことで、次世代の発話・NLUシナリオをサポートしますので、AGLを使用する自動車メーカーは常に時代をリードできます。」
AGLはVehicle-to-Cloud EG (車両クラウドEG) も発足しました。これはテレマティクス、パーソナライゼーション、認証 (authentication)、認可 (authorization) などのユース ケースを調査します。ForgeRockが主導するこのV2C EGは、車両クラウド間接続、コネクテッド カー機能、OTA (Over The Air: 無線通信利用) アップグレード機能、RVI (remote vehicle interactions)、アイデンティティ管理、位置情報サービスのIoTプロトコルなどのリファレンス アーキテクチャやサービスの実装も担当します。
ForgeRockのIdentity Technology担当ディレクターであるAshley Stevenson氏は次のように述べています。
「自動車業界は、サービスドリブンなスマート モビリティ エコシステムへの進化により、自動車単位のセールスからパーソナライズされたモビリティ エクスペリエンスへと視点を変えており、それはクラウド接続や、新たなコネクテッド センサー データという波に依存します。AGLのVehicle-to-Cloudエキスパート グループは、多様なメンバーの知識と経験を利用することで、コネクテッド カーへの増え続けるニーズ (安全でプライバシーが保たれ、標準化された方法により、センサー データをさまざまなクラウド サービスで通信・リレーする) に応える手助けをすることができます。」
すでにSpeech EGとV2C EGの第一回会合が行われ、東京で2月20日・21日に開催された半期に一度のAGL All Member Meeting (AMM) でも議論が続けられました。AMMにより、AGLコミュニティは最新の開発情報について学び、ベストプラクティスを共有し、連携して業界全体の高速イノベーションを推進することができます。
Automotive Grade Linux (AGL) について
Automotive Grade Linux は、自動車メーカー、サプライヤー、技術系企業などを結集し、コネクテッド カー向けフル オープン ソフトウェア スタックの開発導入を促進するオープン ソース共同開発プロジェクトです。AGL はその中核にある Linux の強みを生かし、新しい機能や技術の高速開発を可能にする業界デファクト スタンダートのオープン プラットフォームをゼロから開発しています。AGL は、当初はおもに車載情報機器 (In-Vehicle-Infotainment: IVI) を対象にしていましたが、現在は、計器盤、ヘッド アップ ディスプレイ、テレマティクス、先進運転支援システム (Advanced Driver Assistance Systems: ADAS)、自動運転などあらゆる車載ソフトウェアに対応している唯一の組織です。AGL プラットフォームは誰でも使用でき、誰でもその開発に参加できます。詳細情報はこちらです。
Automotive Grade Linux は、The Linux Foundationがホストするプロジェクトです。Linux Foundationプロジェクトは独立した資金によるソフトウェア プロジェクトで、共同開発の力で業界やエコシステム全体のイノベーションを推進しています。
The Linux Foundation について
The Linux Foundationは、オープン テクノロジの開発や企業展開を加速するエコシステム構築のための組織として、世界のトップクラスの開発者や企業から選ばれています。The Linux Foundation は世界中のオープン ソース コミュニティと協力して、史上最大の共有技術投資を作り出すことにより、難解な技術問題を解決しています。2000 年に創設された The Linux Foundation は、オープン ソース プロジェクトをスケールするためのツール、トレーニング、およびイベントを提供しており、それらのプロジェクトが協力し合い、1 社だけでは成し得ない経済的影響を実現しています。詳細については、www.linuxfoundation.org を参照してください。
その他の資料
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The Linux Foundation はさまざまな商標を登録および使用しています。The Linux Foundation の商標一覧はこちらのページでご確認いただけます。
Linux は Linus Torvalds の登録商標です。
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