Cloud Native Computing Foundation (CNCF)のTechnical Oversight Committee(TOC 技術監視委員会)は2018年1月29日(米国時間)、Rookプロジェクトをホストすることを決定しました。Rookは、Kubernetes、Prometheus、OpenTracing、Fluentd、Linkerd、gRPC、CoreDNS、containerd、rkt、CNI、Envoy、Jaeger、Notary、TUFに続く15番目のプロジェクトとなります。
RookはCNCF Graduation Criteria v1.0の下、インキュベーション プロジェクトとしてホストされました。CNCFはそれぞれのプロジェクトを成熟度に応じてインセプション、インキュベーション、グラデュエートいづれかにレベル付けしています。インキュベーション プロジェクトはクラウド ネイティブ コンピューティングに価値をもたらし、CNCFチャーターに沿うことを最低限求められます。
Rookはファイル / ブロック / オブジェクトのストレージシステムをKubernatesクラスターにもたらし、それらをストレージを消費する他のアプリケーションやサービスと並行してシームレスに実行します。これによりクラウド ネイティブ クラスターは、パブリック クラウドとオンプレミス デプロイメント全体を通して自立し移植可能なものとなります。このプロジェクトは、オンプレミスやパブリック クラウド環境で運用している分散ストレージ システムのための動的アプリケーション オーケストレーションにより、企業がデータセンターを近代化できるようにするために開発されました。
Cloud Native Computing FoundationのCOOであるChris Aniszczykは次のように述べています。
「ストレージはクラウド ネイティブ コンピューティングの最も重要なコンポーネントの1つですが、現在持続しているストレージ システムは通常クラウド ネイティブ環境の外側で動いています。RookはKubernetesオペレーター パターンの早期導入者であり、私たちはRookをインキュベーション プロジェクトとして迎え入れクラウド ネイティブ ストレージのステータスを前進させることを嬉しく思います。」
成熟するのに何年もかかる完全に新しいストレージ システムを構築する代わりに、RookはCephのような既に存在する実証されたストレージ システムを、Kubernetes上でシームレスに動作する一連のクラウド ネイティブ サービスに変化させることにフォーカスしています。RookはKubernetesに完全に統合し、セキュリティ、ポリシー、クォータ、ライフサイクル管理、リソース管理のシームレスな体験を提供します
RookのクリエイターでありUpboundのCEOであるBassam Tabbara氏は、Software Engineering Dailyポッドキャスト内で次のように述べています。
「Rookは基本的にストレージ システムをサポートするためにKubernetesを拡張するオペレーター パターンを使用しています。私たちはストレージ クラスター、ストレージ プール、オブジェクト ストアおよびファイル システムのコンセプトを追加しました。これらは全て私たちがKubernetesを拡張するために使用した新しい抽象概念です。」
Rook(release 0.6)アルファ版は現在利用でき、ベータ版に続き本番環境向けは2018年前半のリリースを予定しています。
主な特徴:
- コモディティ ハードウェア上で動作するSoftware-Defined Storage
- Cephと統合されたファイル、ブロック、オブジェクトストレージプレゼンテーション
- ハイパー スケールまたはハイパー コンバージド ストレージ オプション
- 簡単にスケール アップ / スケール ダウンできるエラスティック ストレージ
- ゼロタッチ管理
- スナップショット、クローニング、バージョニングによる統合されたデーター保護
- Kubernetes上でデプロイ可能
最新バージョンKubernetes 1.9では、ポッドをデプロイするのと同じくらい容易に新しいボリューム プラグインをインストールできるCSI アルファ インプリメンテーションが導入されました。これによりサード パーティのストレージ プロバイダーは、コア Kubernetes コードベースを追加することなく独自のソリューションを開発できます。RookはCSIを通してKubernetes向けにストレージ サービスを提供する予定です。
Rookプロジェクトの最初のスポンサーであるQuantumのシニア ディレクター Dan Kerns氏は次のように述べています。
「Kubernetes上でのストレージクラスター運用は非常に適しており、一元化した管理インターフェースにまとめることは完全に理にかなっています。Rookと共に、私たちは最新のクラウド ネイティブ環境でうまく動作するSoftware-Defined Storageクラスターを開発したいと考えています。Kubernetesのようなオーケストレーターを使用することで、ストレージ クラスターはさらにいっそう強化されます。」
Rookのコミュニティ サポートは、企業とユーザーが自社のクラウド ネイティブ環境(オンプレミス / パブリッククラウド)でRookをデプロイするにつれ急速に成長しています。HBO、UCSD Nautilus Project、Norwegian Welfare、Verne Global、FlexShopper、Acalephのような企業・組織は、Rookを自社のストレージ プラットフォームの一部として実装しています。
注目すべきマイルストーン:
- 47人のコントリビューター
- 1,935 GitHubスター
- 13リリース
- 1,463件のコミット
- 125万件以上のコンテナ ダウンロード
HBOの元シニア スタッフ エンジニアで、Upboundの創設メンバーであるIllya Chekrygin氏は次のように述べています。
「私たちは、Kubernetes上で動作しAWS上にデプロイされたHBOのPrometheusサーバーでRookを使用しました。Rookは、Prometheusポッドの再起動時間と事実上のダウン タイム削減、メトリクス スクレイプ ギャップを大幅に改善しました。Rookが本番環境向けのステータスになることを楽しみにしています。」
CNCFにホストされたプロジェクトとして、Rookは技術的関心に沿った中立的なファウンデーションの一員となり、プロジェクト ガバナンスの援助と、より幅広いオーディエンスに届くためのサポートが提供されます。
Mesosphereの共同創設者で、CNCF TOCメンバーでありプロジェクト スポンサーのBenjamin Hindman氏は次のように述べています。
「クラウド ネイティブ環境でのストレージ運用は、ステートレス コンテナよりもはるかに困難です。私たちはRookをストレージ オーケストレーションの難しい問題に取り組む初めてのCNCFプロジェクトとして迎え入れることに興奮しています。」
詳細については、以下をご覧ください。
- Rookのブログ
- Quantumの最近のプロジェクトのモメンタムに関する発表文
- Upboundのブログ
- The New Stack’s Makersポッドキャスト
- Software Engineering Daily Bassam Tabbara氏によるRook and Storage on Kubernetes議論
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